ソウルのまかない付き下宿生活
安原武彦のネットショップ「韓国味ごよみ」
学校から下宿へ電話ををして学校の正門まで迎えに来てもらい、いよいよソウルでの下宿生活が始まる。
日本ではもう無くなってしまった賄い付き下宿だが、ソウルの学生街である新村(シンチョン)ではまだ健在で、40数年前の東京での学生生活を思い出す。
女主人のアジュンマ(おばさん)と娘さんと息子さん2人の家族と下宿生6人ばかりの下宿なので、同じ釜の飯を食うと言うこともあり、とても家族的な下宿だ。
部屋は7畳くらいの部屋で、机、ベッドは部屋付きで、冷蔵庫は共用のものがあって冬は床暖房、シャワーとトイレが有る共用の浴室が2カ所、食事は家族共々居間兼食堂でアジュンマの手料理を朝夜2食いただく・・・・・・・ と言った生活が始まる。
学校の近所の下宿は4万円~5万円といったのが相場のようで、学校からすこし離れると
安くなる。
勿論日本のようなワンルームマンション形式のものもそろっている。
下宿生は日本人が半数で中国、ドイツ、台湾、モンゴル、スエーデンなどの人たちがかわるがわるやってくる。勿論韓国の地方からも来る。
同じ屋根の下で、同じ釜の飯をくっていると、それぞれの民族の価値観の違いが見え、毎日のように目から鱗が落ちる思いをする。
下宿人たちの共通語は韓国語だが、日本人同士ではつい日本語の話になってしまい、「イルボンマル ハジマ!(日本語を使うな!)」とアジュンマ(おばさん)に怒られることになる。
おばさんいわく「韓国語を勉強しに来ているのだから韓国語を使え」 ということだ。
だからアジュンマは日本語を知らないし、知ろうとも思わない。
だから下宿人はアジュンマとは必死になって韓国語を使い用件を伝えるし、聞こうとする。
それが生きた勉強になって実力がついてゆく。
今でも学校で学んだ語学は半分、下宿で学んだ語学が半分と思っている。
言葉を学ぶことは技術的な語学を学ぶだけではなく、その言葉が持つ生活文化や感情の動き、思考方式をもいっしょに学ばなければ、本当に理解をすることができない。
言葉を心で理解するには、賄い付きの下宿経験をとおして生活文化を肌で理解し、音楽や絵画などの芸術を通してその民族の感性に触れことこそ大切と考える。


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